目次
決算概要
2023/1/19にNetflixの決算が公開されました。
売上:予想 $7.84B vs $7.85B
EPS:予想 $0.59 vs $0.12
有料会員数:予想 457万人 vs 766万人
売上はインライン、EPSは予想を大きく下回り、前年比で90.9%減となりました。しかし、新規広告プランの導入や、本四半期もNetflixの独自コンテンツである映画、ドラマでヒット作を出したことから、有料会員数の伸びは予想457万人に対して、766万人と大幅に予想を上回りました。これを好感し株価は8.46%の急騰となりました。Q1のガイダンスについては、売上は予想に一致、EPSは予想に届かず、新規会員数については今後発表を控えるとのことでした。また、CEOが退任し今後は会長に就任します。
本記事では、以下資料の内容を元に解説しております。
【Netflix四半期決算】
【Netflixカンファレンスコール議事録】
では、中身を見ていきましょう。
Q4収益詳細
収益成長
前年比2%増加。ドル高の影響を受けたため、為替の影響がなければ10%収益は増加していました。
有料メンバーシップ契約者数
前年比4%増加。予想457万人増加に対して、合計で766万人の増加を達成しました。
契約者あたりの平均収益(以降ARM)
前年比2%の増加減少。ドル高の影響を受けたため、為替の影響がなければ5%収益は増加していました。
地域別の収益詳細
【APAC(アジア・太平洋地域)】
- 平均有料会員数が前年比で 16.5% 増加
- 収益は 1.6% 減少
- ARMは為替の影響を除くと前年同期比で -4%と減少
- この地域では 179 万人の有料メンバーシップが追加
【EMEA(欧州・中東。アフリカ地域)】
- 平均有料会員数が前年比で 3.6% 増加
- 収益は 6.9% 減少
- ARMは為替の影響を除くと前年同期比で 5%と増加
- この地域では 320 万人の有料メンバーシップが追加
【LATAM(ラテンアメリカ地域)】
- 平均有料会員数が前年比で 4.4% 増加
- 収益は 5.5% 増加
- ARMは為替の影響を除くと前年同期比で 7%と増加
- この地域では 176 万人の有料メンバーシップが追加
【UCAN(米国・カナダ地域)】
- 平均有料会員数が前年比で 1.2% 減少
- 収益は 8.6% 増加
- ARMは為替の影響を除くと前年同期比で 10%と増加
- この地域では 91 万人の有料メンバーシップが追加
営業利益
2021年第 4 四半期の 6.3 億ドルに対して合計 5.5 億ドルであり、ガイダンス予測である 3 億 3000 万ドルを上回りました。
その結果、第 4 四半期の営業利益率は、2021 年第 4 四半期の 8% と比較して 7% になり、通年では2021年度の21%に対して18%になりました。営業利益率が前年比で低下したのは、ドル高の影響が大きかったようです。2022 年初頭の F/X レートに基づき、2022 年第 2 四半期のリストラ費用 1 億 5,000 万ドルを除くと、1 月に設定した 19% ~ 20% の目標の上限である 20% の営業利益率となります。
1 年前の 1.33 ドルに対して 0.12 ドルの EPSでした。これは、2022 年第 4 四半期のユーロに対する米ドルの下落の結果、ユーロ建て債務の F/X 再測定による 4 億 6,200 万ドルの非現金未実現損失により、予測の 0.36 ドルを下回ったということです。
Q1の見通し
概要
- 2022 年第 4 四半期の収益は 82 億ドルと4%の増収になると予想
- メンバーシップ契約者数は今回を最後に発表しない予定
- 営業利益率は、前年同期の 25.1% に対して 19.9% になると予測
新プラン
Q4の期間内に立ち上げた Basic with Ads プランは順調に導入できたようです。
今後は、広告主へのサービス改善、広告主の数を増やすことを目指して改善していくということなので、広告による収入に関してもフォーカスしていく必要があります。
次回の決算でもユーザー数が順調に増えているか、安定してヒット作が作り続けられうかが引き続きNetflixには求められてくるので、それに加えて、広告主からのインカムも増やしていけるかに注目です。
変更を希望しないメンバーは、現在の料金で、広告なしで現在のプランにとどまります。
※「Basic with Ads」とは、視聴中に広告が表示される代わりに、プラン料金を引き下げるといったプランです。
懸念点
- 今の所は特に懸念点はなさそうです。次の決算までは順調に上昇していくことが期待されます。カンファレンスコールからも経営陣の自身の現れが読み取れたこともあって、今後のNetflix復活に期待しましょう。
Q1決算のポイント
下記の3点になるかと思います。
Q1決算のポイント
- 広告プランのユーザ数を引き続き増やせるか
- 広告主を増やして、広告収入の増加に繋げられるか
- ヒットコンテンツを作り続けられるか
- パスワード共有対策が行えるか
カンファレンスコールでは、しきりに良いコンテンツを作って、顧客に満足してもらえるプランを提供することが大切と説明があったように、Netflixに求められることは、安定したヒットコンテンツの創出です。そのコンテンツをユーザに見てもらうために、これからも幅広いプランを用意して、視聴者が納得する料金・プランで視聴してもらいたいとのことです。
もう一つ触れられているのは、パスワードの共有問題です。Netflixでは、現在パスワードを入力することでログイン可能ですが、他人のパスワードを利用して動画を見ている人がいて、それに対処し、収益化したいと考えているようです。
基本的に他の誰かの資格情報を借りているため、私たちにお金を払っていません。そして、私たちの今年の目標は、基本的にその状況に対処し、それらの人々の多くを有料アカウントに変換するか、十分なサブスクリプションを得るためにアカウント所有者に支払いを依頼する
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2023/01/19/netflix-nflx-q4-2022-earnings-call-transcript/
現在は、Netflixの利用を1世帯に限定していますが、これを大々的に取り締まるということです。具体的には以下のような対処をするようです。
- 一緒に住んでいない人とNetflixを共有したい場合、追加料金を支払いオプションが与えられる
- 登録者が自分のアカウントを使用しているデバイスを確認する
- プロファイルを新しいアカウントに移行する新機能を実現する
本決算注目点
新広告プランの導入が順調
今回注目すべきは、世界のどの地域においてもメンバー数が増加したということです。これは新たに取り入れた広告プラン(広告が表示され解像度が下がるが会員価格が安価なプラン)が好感されたことから、元々Netflixのサブスクライバーであった会員を呼び戻したと言われています。
特に、目を見張るのがEMEA地域です。この地域はヨーロッパを多く含むため、Q3の決算では、ユーザー数の伸びが停滞していた地域のユーザ数を大きく引き寄せる良い戦略であったと思います。
また、カンファレンスコールでは、新プランについて以下のように語られていました。
広告プランのユーザーからのエンゲージメントは、非広告プランの同様のユーザーと同等であることがわかります. ですから、それは本当に有望な兆候です。
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2023/01/19/netflix-nflx-q4-2022-earnings-call-transcript/
プレミアムのような高度なサブスクリプション プランから広告プランへの切り替えは、期待したほど多くは見られません。
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2023/01/19/netflix-nflx-q4-2022-earnings-call-transcript/
収益の少なくとも 10% を超える可能性があると信じていなければ、このようなビジネスに参入することはありませんでした。
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2023/01/19/netflix-nflx-q4-2022-earnings-call-transcript/
つまり、広告プランに登録したユーザは、広告プランではないプランに登録しているユーザの評価と比較しても遜色ないものであるにも関わらず、プレミアム(広告がなく解像度が高いプラン)プランから広告プランに変更したユーザは、Netflixが想定していたよりも多くないということです。これは、価格設定と、広告+解像度のプランがよりバランスが取れたプランとなっているため、計画の導入には非常にうまくいっているといった趣旨が読み取れます。
今後は、広告主へのサービス改善、広告にしの数を増やすなど、しなければいけないことがたくさんあり、何年にも渡って構築改善を行なっていくと述べています。非常に手応えを感じている印象で、Netflixの将来性について明るい印象を持ちました。
安定したコンテンツの提供
NetflixはQ3で、ストレンジャーシングスや、韓国ドラマなどがヒットし、会員数を伸ばすことに成功しました。Q4では、引き続きヒットコンテンツを出せるのかということが注目されていましたが、今回も多くのヒット作を生み出し、他のストリーミング会社と差を広げた形になりました。
- 「Wednesday」 ドラマ
- 「Harry & Meghan」 ドキュメンタリー
- 「Troll」非英語映画
- 「Glass Onion」英語映画
パスワード共有の取り締まり
Netflixでは、現在パスワードを入力することでログイン可能ですが、他人のパスワードを利用して動画を見ている人がいて、それに対処し、収益化したいと考えているようです。
基本的に他の誰かの資格情報を借りているため、私たちにお金を払っていません。そして、私たちの今年の目標は、基本的にその状況に対処し、それらの人々の多くを有料アカウントに変換するか、十分なサブスクリプションを得るためにアカウント所有者に支払いを依頼する
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2023/01/19/netflix-nflx-q4-2022-earnings-call-transcript/
現在は、Netflixの利用を1世帯に限定していますが、これを大々的に取り締まるということです。具体的には、一緒に住んでいない人とNetflixを共有したい場合、追加料金を支払いオプションが与えられる、登録者が自分のアカウントを使用しているデバイスを確認する、プロファイルを新しいアカウントに移行する新機能を実現するようです。
ストリーミングTVの市場規模はまだまだ大きい
Netflixは今後、リニアTV(従来のテレビ番組)から、ストリーミングTVへの移行は今後も進んでいくと考えているようです。その中でストリーミングTVの市場シェアはリニアTVと比較してもまだまだ少なく40%に届いている国は一つもないということです。
また、ブラジル、メキシコ、ポーランドなどの新興国ではストリーミングTVを利用しているのは、総視聴時間の10%未満で、特にNetflixを使っているのは4%,2%に満たないと主張しています。
今後、ストリーミングTVがシェアを大きく奪い、Netflixの今の有利な状況を維持することができれば、収益はまだまだ上げていけるといったことが決算レターに含まれていました。
ストリーミングTVの未来は明るい、Netflixの未来は明るいということが存分にアピールされた決算であり、投資家として非常に期待感が持てる良いカンファレンスコールだったと思います。
チャート
終わりに
Netflixの決算について、を私なりに感じたことをnoteにまとめました。ここまでの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
以上です。